アジアゾウ 餓死の危機
- Klaa
- 2020年5月6日
- 読了時間: 4分

絶滅危惧種に指定されているアジアゾウにも「新型コロナウイルス」の影響が波及していた。G.W.最終日の2020年5月6日(水)北海道新聞の朝刊に掲載された記事だ。新聞自体も薄くなり、チラシも全く折り込まれなくなった。その中で目に飛び込んできたのがこの記事。
柳楽優弥主演で2005年に公開された実話に基づく映画「星になった少年」が、それまでは遠い国のことで自分とは全く無縁であった"象つかい" が職業として意識させられる機会となった。
撮影が始まる前に現地で調教の訓練を受け、タイ語でゾウに指示を出しながら、柳楽優弥は熱帯雨林の中で身体を張った演技で主人公 "テツ" を見事に演じ上げていた。デビュー作「誰も知らない」で既に頭角を著していたのは周知の事実ではあるのだが…
ちなみに、音楽はあの "世界の坂本龍一" が担当しておりタイ北部の風景にとけ込む旋律は美しいことこの上なくとても聞き応えのあるサントラとなっている。
それ以来ことに触れ、タイのゾウに関する情報に目が向くようになった。アジアゾウは人間の作業を手伝わせるために家畜として飼育されてきた歴史がある。その流れを受けてタイでは観光資源として大切な稼ぎ手となって(されて)いるのが現状である。

初めてゾウに乗ったのはアユタヤだった。コースの途中で記念撮影タイムが設けられており、象つかいがゾウから降りて観光客が持参しているカメラで写真を撮ってくれたりする。「象牙のブレスレット、安くしておくので買わないか?」とお小遣い稼ぎの声かけもある。1,000円足らずで象牙が買えるわけもなく、仮に本物だったとしても、ワシントン条約に引っかかり没収、逮捕なんてことになったら… 彼等にとってみたら、これも小遣いではなくれっきとした生活源なのであろう。象牙はお断りして、チップのみ手渡した。

"象つかい" のなり手が不足していると聞いたことがる。チェンマイで地元の方からだったと記憶しているが、それがどこであったかは定かではない。あまりにも賃金が安いのでタイ人でこの職を志す者はいない。現在ではほとんどが近接の国々から仕事を求めて越境してくる人たちによって担われているそうである。
チェンマイのエレファントキャンプに行くとゾウに食べさせるためのバナナなどを入り口を入った辺りで販売している。自分の手で直にバナナをあげることを楽しむサービスに対する料金であろう。本来であれば餌は飼育している側が支出すべきものなのだから。入場料に加え、ゾウに乗ってのトレッキングには時間の長さに応じて別料金を徴収する施設もある。これら全てがコロナのために絶たれてしまったのだ。

皮膚が固くて厚いゾウを人間の思い通りに扱うにはかなりの強さと痛みを与えなくてはならない。その道具として用いられるのが手鉤(調教に使用する金属のフックの付いた棒)である。手鉤の使用自体がゾウに対する虐待だと声を荒げる人が少なくないのは確かである。
エレファントキャンプでは象つかい達は朝起きてから夜寝るまで四六時中自分が世話をする一頭のゾウと生活を共にすると聞いている。ゾウと人間の信頼関係は痛みを与えることのみで築くことができようか。
とある番組で前出の「星になった少年」の主人公 "テツ" が調教をしたゾウの "ランディ" からゾウと話が出来るという女性(かなり不思議)は『テツの手鉤使いは他の人と違って荒々しさはなかった』と聞き取っているのを観た記憶がある。必ずしも、誰もの手鉤の使用が虐待に直接結びつくものではないのかもしれない。かといって、人間のエゴでゾウを力でねじ伏せるのもどうかとは思う。
かくいう自分も過去に3回ほどゾウに乗りに行っているが、回を重ねる毎に「これでいいのだろうか?」という疑念は強まるも、初めてタイに行く人でゾウに乗ることを楽しみにしていない人は至極少数なのではないかとも思う。また、地元の子供達にとっても娯楽の一つとなっていることは間違いない。複雑な心境だ。

いずれにせよ、世界の情勢がいち早く改善しタイにおいてもゾウが安寧に過ごせる日々が1日でも早く戻ってくることを切実に望まずにはいられない。
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